一級品ボタン剣真贋についてはマイセン社でも現在は答えてはくださらないようです。昔、繁忙期には猫の手ならぬ御近所に住むマイセンの職人以外の人の手を借りて絵を付けさせていたという記録も残っておりますので、あまり詮索されたくない部分でもありましょうし、古いものについては証明のしようもないことです。スクラッチに関しては、例えば焼成温度の加減を間違えてコバルトに焼きムラが生じたり、窯傷や黒点が入ったりした為に引っ掻き傷(キャンセレーション・マーク)を双剣上、あるいは双剣の下、双剣の右、近代では双剣から離れた高台近くの短い横棒に入れたりして2級品であることを示していますが、これらのスクラッチが無いからといって、果たして描かれた絵がマイセン職人の手によるものか否かは、もしそれが古い時代のものであれば尚更、知りようがありません。カトラリー痕は見られず、金彩金縁に薄れもありません。この年齢にしては非常に良い状態のものです。詰まる所、誠に僭越ながら、偉そうに、身の程を弁えず書かせて頂けば、「好きならそれでいいんじゃない?」となります。ご検討頂けましたら幸いです。(御参考)直径 : 約 19.7 cm